腹部エコー(超音波)検査ultrasonography
腹部エコー
(超音波)検査とは
ultrasonography
腹部エコー(超音波)検査は、超音波を用いて肝臓、膵臓、胆道、腎臓、脾臓などを観察する検査です。診察室ですぐに行えることや、患者さんの体への負担が少ないこと、エックス線検査やCT検査などと異なり放射線被ばくのない安全性の高い検査であることがメリットです。そのため多くの医療機関で導入されている検査ですが、検査をする人の技術によって得られる情報が異なり、診断の精度が左右されます。当院では、検査技師でなく院長自ら検査を行います。
これらの症状がある方は、要注意です。 検査するべき主な症状
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体や目が
黄色いなど、
黄疸症状のある方 -
糖尿病の方
(急な出現、
悪化があった
場合は特に) -
肝機能障害や
腎機能障害、
尿潜血陽性を
指摘された方 -
背中の痛み
(背部痛)
のある方 -
胃カメラでは
異常のない
腹痛が持続
している方 -
食後
(特に油もの)
に腹痛
のある方
上記の他、以下に該当する方も定期的な腹部エコー検査がおすすめです。
- 高血圧、脂質異常症、肥満やメタボリック症候群を指摘されている方
- B型肝炎、C型肝炎、脂肪肝、肝硬変などの肝疾患を指摘されている方
- 良性の肝腫瘍(血管腫、限局性結節性過形成など)がある方
- 膵嚢胞や慢性膵炎、膵石症などの膵疾患を指摘されている方
- 胆のう壁肥厚、胆のうポリープ、胆石症などの胆道疾患を指摘されている方
これらの病気はがんに転化する可能性があり、がんのハイリスク因子といえます。例えば、B型肝硬変では年率3%、C型肝硬変では年率5~8%の発がんが報告されています。その他、通常時と比べて膵嚢胞には約3倍、慢性膵炎では約7倍の発がんリスクが報告されています。
こうした病気が元となって起こるがんは、発見が早ければ手術や放射線治療などさまざまな選択肢があり、発見が遅れるほど治療が困難となります。できるだけ早期に発見できるよう定期的な検査がおすすめです。
当院の腹部
エコー検査の特徴
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いつでも迅速に検査できるよう準備
事前の特別な準備や痛みなど身体への負担のない腹部エコー検査は、迅速かつ手軽に消化器疾患について詳細に調べることのできる検査です。当院では、2台の超音波診断装置を備えており、そのうち1台はコンパクトで機動性に優れた超音波診断装置を採用しています。これを診察室に設置し、診察の途中にいつでも検査できる体制を整えております。通常の診察に超音波による観察を加えることで、正確な診断を診察中に下すことが可能です。急に生じた腹痛の原因を調べるときに、主に使用しています。
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先進機器を導入し、精度の高い検査
当院で導入しているもう1台の超音波診断装置は、高度専門施設でも使用されている新型のフルデジタル超音波診断装置で、精密な腹部エコー検査が必要な際に用いています。従来の機種と比較して解像度が高く、鮮明な画像が得られるため、精度の高い診断が可能です。主に、腫瘍の発見や診断、経過観察を行うときに使用しています。脂肪肝の程度や肝臓の硬さなどを把握し、病気の進行度を評価をすることもできます。
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先端の超音波診断技術を駆使
先端の超音波診断装置では、画像の観察以外に血流の解析や組織硬度の測定(超音波エラストグラフィー)が可能です。血流の解析は一部のがんの診断や腎機能の評価に有用であり、組織硬度の測定は慢性肝炎や肝硬変の診断に有用です。肝臓は硬くなればなるほど、肝臓のはたらきが低下し、がんができやすくなるといわれています。つまり肝臓の硬さを知ることは、自分の肝臓に残されている機能や肝がんのリスクを知ることにつながるのです。当院院長は先端の超音波診断技術に精通しており、これらの技術を駆使してより正確な診断を行います。
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検査経験豊富な院長による丁寧な検査
当院では病変の見逃しがないよう、一例一例10分以上の十分な時間をかけて詳細に観察することを大切にしています。検査の目的によっては、膀胱、前立腺、子宮、胃・腸管、腹部大動脈などを観察させていただく場合もあります。膵臓の観察ではお茶などの水分を飲んでいただき、超音波が届かない部分(死角)を減らす工夫をしています。特に胆道・膵臓領域のエコー検査は、院長が名古屋大学医学部附属病院での勤務時代に多数実施しており、当院が得意としている検査の一つです。
検査の流れ FLOW
腹部エコー検査は、医師の診療にて必要と判断した際に行います。思い当たる症状のある方は受診してください。精密な超音波検査は予約のみで実施しています。必ずお電話でご予約いただき、「エコー検査(超音波検査)希望」と窓口にお伝えください。
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STEP1検査前
暴飲暴食を避け、検査4時間前からは食事を摂らないでください。検査直前の内服は事前にご相談ください。膵臓の観察に使用するため、お茶などの水分をご持参ください。ゼリーが服に付着する可能性がありますので、汚れてもよい、楽な服装で来院してください。
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STEP2検査
- リクライニングシートに仰向けになり、腹部を露出していただきます。
- 検査する部位にゼリーを塗り、ゼリーを塗った部分に機器(ブロープ)をあて、お腹の中の映像を見ていきます。
- 検査中には患部を見やすくするため、息を吸ったり吐くよう指示したり、頻回に体勢を変えていただきます。検査の正確性を上げるために重要ですので、ご協力をお願いします。
- 膵臓の観察を行う場合には、お茶などの水分の服用を検査中にお願いします。
- 膀胱内に尿が貯留している場合は、膀胱や子宮、前立腺の観察も行います。
- 病気の状態に応じて血流解析や超音波エラストグラフィーを行う場合もあります。
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STEP3検査後
読影した内容に基づき、検査結果をお伝えします。麻酔等用いていないため、当日の生活に制限はございません。
費用の目安 ESTIMATED COST
健康保険1割負担 | 健康保険3割負担 | |
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腹部エコー検査のみ | 約550円 | 約1,600円 |
腹部エコー検査+血流解析 | 約750円 | 約2,200円 |
腹部エコー検査+超音波エラストグラフィー | 約750円 | 約2,200円 |