大腸カメラLOWER
大腸カメラ
(大腸内視鏡検査)とは
ENDOSCOPY
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸を内部から直接観察する検査です。大腸がん、腸炎、ポリープ、憩室、痔核などの異常の診断に加え、必要に応じて検査中にポリープなどの切除や組織採取も行います。切除した病変や採取した組織は、病理検査で良性か悪性かを判定します。
高齢化や食生活の欧米化により、大腸がんになる方の数がこの30年間で約6倍に増加したといわれています。
大腸がんは早期に発見すれば治癒が十分期待できますので、便潜血検査で陽性の方は必ず精密検査を受けることをお勧めいたします。
一方で大腸内視鏡検査は、患者さんのお体にとって負担の大きい検査です。下剤を飲む負担、検査機器による負担、精神的な緊張などの積み重なりにより、検査後には運動をした後のような疲労が残ります。そのため当院では、何度も検査することがないよう1回で漏らさず観察できるような質の高い検査を追求し、患者さんの負担を軽減したいと考えています。
これらの症状がある方は、要注意です。 検査するべき主な症状
-
血便や便秘、
下痢など、
便の異常がある方 -
便潜血検査が
陽性と
診断された方 -
おなかが
張った感じが
続いている方 - 貧血の
ある方
万が一の大腸がんを早期発見するため 大腸内視鏡による精密検査を受けましょう
その他 受診が望ましい人
- これまでの内視鏡検査で、大腸ポリープがあると診断された方
- 大腸がんにかかった人が、血縁者にいる方
当院の大腸内視鏡検査の特徴
-
鎮静剤なしでも痛みの少ない検査
当院では患者さんのニーズに応じて鎮静剤を使用する方法、使用しない方法、どちらにも柔軟に対応することが可能です。検査に対する不安の強い方、過去に大腸内視鏡検査で強い痛みを感じた方、腹部の手術をされたことのある方、炎症性腸疾患のある方などには鎮静剤の使用をお勧めします。
一方で鎮静によるデメリット(呼吸器・循環器系の合併症を生じる可能性がある、検査後に自動車を運転できない、意識がもうろうとして検査を受けながら病気の説明が聞けない、検査の状況を正確に把握できないなど)もあります。 当院では鎮静剤を使用しなくても、過度の苦痛なく受けられる検査を心がけておりますので、診察時に希望をお伝えください。 -
クリーンコロンの実現のため、
1回の検査でポリープ切除まで可能「クリーンコロン」とは、検査で発見されたポリープを小さなものも含めてすべて取り除き、腸内をきれいな状態にすることです。 クリーンコロンを達成できた場合、その後のポリープの再発や発がんが起こりにくくなるという研究結果が出ています。
ポリープの大きさや形、個数によっては難しいケースもありますが、当院では患者さんの将来の健康を見据えて、可能な限り1回の検査のうちにクリーンコロンもめざしています。 -
時間をかけ、見落としのない検査を追求
「一番奥の盲腸から一番手前の肛門までの大腸を観察する時間」のことを大腸内視鏡検査の観察時間と呼びます。当然ですが、時間をかけて大腸内をくまなく観察した場合に、観察時間は長くなります。
観察時間は短いほうが医師・患者さんともに楽であるとは思いますが、病気の見逃しが多くなってしまっては検査の意味がありません。
観察時間6分以上の医師のほうが6分未満の医師よりも腫瘍の発見率が高かったという報告もあるなど、観察時間をしっかり取って丁寧に診ることが肝心です。当院では見落としのない検査とするべく、10分以上の観察時間をかけて大腸の中を十分に観察します。 -
先端の医療機器を導入
当院は開院当時から総合病院で導入されているような先端の内視鏡機器を採用しています。 BLIやLCIなど、より病変部分を判別しやすくするレーザー機能を備えており、がんの早期発見に寄与しています。
-
徹底した衛生管理
当院では衛生管理を徹底しており、検査に使用する内視鏡スコープは日本内視鏡学会の推奨する洗浄方法のガイドラインに則り機械洗浄を行っております。大腸ポリープの切除に用いるスネアや穿刺針、細胞の検査に用いる生検鉗子はディスポーサブル(使い捨て)のものを 使っています。また、検査時にはスタンダード・プリコーションの考えに基づきガウンなどの治療着を用いたり、歯科医院で導入されているような 口腔外吸引装置(口腔バキューム)で飛沫感染を防止するなど、医療者の安全も確保しています。ひとつひとつの検査に対 するコストはかかりますが、徹底的な衛生管理を実施しています。
-
合併症を防ぐために安全、
安心を追求大腸内視鏡検査には、出血や穿孔(穴)のリスクが伴います。これらの原因は大腸カメラを無理に操作して腸の壁に接触し、負担をかけてしまうことです。 そのリスクを最低限に抑えるため、当院では大腸カメラの送気を最小限にしつつ、気体も身体に吸収されやすい二酸化炭素(炭酸ガス)を用いたり、 軸保持短縮法や圧迫法などの手法を用いて、なるべく腸が伸びてしまわないよう常に留意し検査を行っています。
検査の流れ FLOW
大腸内視鏡検査はお電話での診療予約と、事前の受診が必要となります。
-
STEP1事前の受診
検査を行う当日より前に一度受診していただきます。検査内容や事前準備などのご説明および腸管洗浄剤のお渡しをいたします。健診結果や紹介状なども、一緒にお持ちください。ポリープを切除する可能性があるため、大腸検査前の血液検査も実施します。糖尿病で治療中の方、心臓や脳などの病気で血液をさらさらにするお薬を服用している方、不整脈で心臓ペースメーカーを使われている方は必ず事前に相談して医師の指示に従ってください。
-
STEP2検査数日前
検査の障害となる便を完全に除去しなくてはなりません。検査数日前からキノコ類や野菜などの消化されにくいものはお控えください。お茶や水などの水分は摂取していただけます。
-
STEP3検査前日
検査前日の午後9時以降は食事を取らないでください。就寝前にピコスルファートナトリウム内用液という下剤を1本内服していただきます。
-
STEP4検査当日
- 当日は朝食を摂取しないでください。午前8時よりご自宅でモビプレップという下剤と必要量の水分を摂取していただきます。適宜当院よりご連絡をさせていただき、お体の状態、便の状態を確認いたします。指定されたお時間に来院されるようお願いいたします。稀ではありますが、前処置が不十分な場合は早めに来院していただく場合もございます。
- 来院後まず最初に便の状態を確認します。鎮静剤を使用する方は、点滴を留置します。鎮静剤の投与は体重や年齢、服用薬に応じて調整し、細心の注意を払って行います。
- 内視鏡室に移動し、肛門にゼリーを塗布し、肛門から大腸カメラを挿入していきます。カメラが盲腸に届いたら、カメラを引き抜きながら腸内をじっくり観察していきます。検査中はリラックスして体の力を抜くことで負担を軽減できます。腸の緊張が強い場合には、鎮静剤を使用する場合があります。検査中にポリープや癌が見つかれば、粘膜の組織採取やポリープ切除をその場で行います。
-
STEP5検査後
鎮静剤を使用した場合は約1時間程度リカバリールームでお休みいただきます。当日中に検査結果をご説明させていただきます。組織採取・ポリープ切除を行った場合は、後日病理結果をご説明いたします。
終日、薬の影響で眠気やふらつきが生じることがあります。検査後は自動車やバイク、自転車などの運転はできません。検査計画を立てるときには、検査後の予定にもご注意ください。
費用目安 ESTIMATED COST
健康保険1割負担 | 健康保険2割負担 | 健康保険3割負担 | |
---|---|---|---|
大腸内視鏡検査のみ | 2,000円 | 4,000円 | 6,000円 |
病理組織検査あり | 3,000~6,000円 | 6,000~12,000円 | 10,000~20,000円 |
ポリープ切除 | 7,000~10,000円 | 13,000~20,000円 | 20,000~30,000円 |
新型コロナウイルス感染症の感染防止の一環で、以下の症状に該当する場合は、検査の延期または中止をさせていただきます。
- 新型コロナウイルス感染症と診断されている方
- 感冒症状や37.5℃以上の発熱のある方
- 2週間以内の新型コロナウイルスの患者やその疑いがある方との濃厚接触歴のある方
- 2週間以内の感染多発地域への滞在歴がある方
- 明らかな誘因のない強い倦怠感や息苦しさ、味覚・嗅覚異常、4~5日続く下痢などの消化器症状をお持ちの方
- また、感染の疑いのない場合でもすべての検査でスタンダードプリコーション(ゴーグル・マスク・手袋・キャップ・長袖ガウンの着用)を行い、徹底的に院内感染を予防しています。各種防護具は患者さんごとに取り換え、検査ごとに医療従事者の手指洗浄を行い、診察台などの消毒も行っています。飛沫感染やエアロゾル感染に対する対策もしています。
大腸カメラ | 月 | 火 | 水 (隔週) |
木 | 金 | 土 (隔週) |
日/祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
12:00- 12:45 |
● | ● | - | ● | ● | − | − |
12:45- 13:30 |
● | ● | − | ● | ● | − | − |
13:30- 14:15 |
− | − | ● | − | − | ● | − |
14:15- 15:00 |
− | − | ● | − | − | ● | − |
ポリープ切除について POLYP REMOVAL
大腸表面の粘膜層の一部がイボのように隆起したものを大腸ポリープと呼びます。大腸ポリープがあってもそのほとんどで自覚症状は生じないため、大腸内視鏡が必要となります。このうち、腫瘍性のポリープ(腺腫)は大腸がんに転じるリスクがあるため、検査時に切除を行います。
-
ポリペクトミー
茎のあるポリープに対する治療法です。茎の部分は腫瘍ではない為、その部分にスネアと呼ばれる円形状のワイヤを掛け通電させ焼き切ります。茎が太い場合は内部に太めの血管が存在することがあるため、切除後の出血の危険性が高くなります。このようなときは事前に茎部を留置スネアと呼ばれるビニール製の糸で縛ったり、クリップにて茎部を挟み止血します。止血に使用したクリップ等は、1週間程で自然に脱落して便とともに排泄されます。
-
内視鏡的粘膜切除術
茎のない病変や平坦な形状のポリープに対する切除術です。
ポリープの下に局注針を用いて生理食塩水などの液体を注入し、ポリープを下から盛り上げます。つぎにスネアを正常粘膜も含めるように掛けて絞めてから、通電させ焼き切ります。スネアには病変の大きさに合わせた円の形や大きさがありますが、この治療では一般的には2cm程度までのポリープを1回で切除可能です。病変が大きくなるほど治療後に出血や腸に穴が開く穿孔など、合併症の危険性が高くなりますので、それを防ぐために切除後に縫い合わせることもあります。